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オープンソースカンファレンス2019 Tokyo/Fall 〜 主にPostgreSQL関連から


OSSコンソーシアム/データベース部会の立場から,PostgreSQLなどDB関連の発表を中心にレポート。

お天気ですか?教えて下さい、Postgres

https://www.ospn.jp/osc2019-fall/modules/eguide/event.php?eid=67
https://medium.com/pgsql-tw/osctokyo2019fall-postgres-312b35f42ed1

COSCUP (台湾で開催されているOSSイベント) からの出張セッション。
発表者の古永忠(グヨンジュン)さんは,データベース研究者 兼 DB分野で民間の仕事もしているっぽい。今回,日本語で発表するために特訓してきたらしい。立派! 日本のProject Tsurugi (劒) の紹介スライドがはさまっていたので,これにも関わっているのか?とも思ったが,そうではなくて,PosgreSQL関連での最近の話題を持って来ただけなのかもしれない (←結局この点ははっきりしなかったので,今度ノーチラスの目黒社長と飲むときに聞いてみよう)。

発表は,PostgreSQLを外部データソースと連携させるFDW (Foreign Data Wrapper) の紹介。天気の外部データを呼び出すのを例として示していたのがタイトルに表れている。また,「envFDW」という環境変数をデータソースにしてしまうツールも紹介。 Taiwan PostgreSQL User Group がGitHubで公開しているものらしい。「環境変数はデータベースなのか?」とツッコミたくなる点はさておき,以外と便利な小技になるかもしれない。

IoT からデータ解析の道筋での PostgreSQL の使われ方

https://www.ospn.jp/osc2019-fall/modules/eguide/event.php?eid=77

日本PostgreSQLユーザ会のセッションだが,内容は発表者の佐藤氏が仕事でやっていることだろう。鉱山(金の採掘をしているみたいだったけど,さて,どこだろう?)でのIoTのチャレンジと,そこでPostgreSQLがどのように活用されているかという話。さすが貴金属の世界で,わずかな精度向上が大きな利益向上につながるらしい。そのためには多数のセンサ×時系列の大量データを処理して…,ということらしい。
いわゆるエンタープライズ系ITでの事例とはいろんな面で異なるので,興味深い。いや,これだって「エンタープライズIT」なんだが,事務系のデータ処理とは違うわくわく感がある。
面白かったけど,聞いた話を事細かに明らかにするわけにもいかないので,可能な範囲で発表スライドとかを公開してくれないかなと期待。12月4日現在,JPUGのサイトには「発表します」という告知だけが出ている。https://www.postgresql.jp/index.php/node/328

最近よく聞く!? ― eBPF (extended Berkeley Packet Filter) を用いた PostgreSQL の性能測定

https://www.ospn.jp/osc2019-fall/modules/eguide/event.php?eid=23

なぜか,日本openSUSEユーザ会のセッション。
発表の趣旨は,BPF (Berkeley Packet Filter; ←最近よく聞く) の拡張である eBPF を使った実装事例の紹介で,たまたまターゲットがPostgreSQLだったということだろうか。
PostgreSQLなどのミドルウェアの性能プロファイリングや性能対策をしようと思ったら,かなり低レイヤのOSの中で取れるようなデータが欲しくなるだろうから,なるほど,こういう使い方ってのは有効だろうと思う。
PostgreSQLはdtraceのプローブが使える(提供している)ので,そこをインタフェースにする様に実現したとのこと。

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コメント

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5600ページのIEEE 802.3-2018が入手可能になった

IEEE 802.3の名称は今では「IEEE Standard for Ethernet」になっている。 「イーサネットとIEEE 802.3は別物なんだよ」という話は,今では昔話でしかない。もうひとつ“いまはむかし”な話をすると,「イーサネットはCSMA/CDだよ」なんて言うと恥をかくのでやめた方がいい。こちらは名称の問題では無く中身の話だが,ここでは詳しい説明は割愛する。 この「イーサネット標準」の2015年以来の改訂版が,2018年8月に発行。6ヶ月のIEEE会員限定期間が過ぎたので,一般にも入手可能になった。ただし個人アカウントは取得する必要がある。この話は以前に書いた ( https://nmizos.blogspot.com/2017/12/ieee802.html 参照)。 https://ieeexplore.ieee.org/document/8457469 このネタをブログにしようと思った動機はタイトルに記してしまった。この規格は改定されるたびにドンドン太って巨大になってきている。本編改訂の間に発行されたamendment (補遺と訳すのがいいのかな)が取り込まれるので,太るのはしょうがない面もある。でもねぇ,ついに5600ページ。もちろん通し読みするようなものじゃない。PDFファイルなので「厚さ」は無いが,印刷したらどれくらいになるんだろう。 参考までに,過去10年の本編のボリュームを比較してみた。  2008 = 5分割,2977ページ  2012 = 6分割,3748ページ  2015 = 4017ページ,56Mバイト  2018 = 5600ページ,98Mバイト 以前は数セクションにファイルを分割して公開されていた。ファイルが大きすぎるのを気にしてたんだろう。2018版も中身は8セクションに分かれている(ページ番号も別に付いている)のを,PDFファイルとしては合体してある。100Mバイト程度のPDFが「デカ過ぎて開けない」ってことも無いだろうから,1本になっていた方が全文検索ができて都合がいい。ちなみにiPadで開いて全文検索しても,今の98Mバイトなら困らない。 参考までに,無線LANのIEEE 802.11の方は,802.11-2016が3534ページ。こちらも結構なもんだ。 --

IEEE802標準文書の入手

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RFCは番号を無駄遣いしていないか?

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