あと,CEATECカンファレンスの特徴として,いろんな業界団体が,その団体の企画セミナー枠を持っていることが挙げられる。
・JEITA (電子情報技術産業協会)
…CEATECはこのJEITAが中心のはず(たしか)
・CIAJ (情報通信ネットワーク産業協会)
・TTC (情報通信技術委員会)
その他,いろんな協議会やコンソーシアムも。たしか昨年は学会枠もあった。
プログラム = https://reg.jesa.or.jp/?act=Conferences&event_id=9
■聴講メモ
幕張に足を運んだのは1日だけだが,JEITA(電子情報技術産業協会)と,CIAJ(情報通信ネットワーク産業協会)の企画セミナーに参加。◆「AIに関するルール・標準化の現状と今後の展望」(JEITA 国際戦略・標準化セミナーから)
https://www.ceatec.com/download/ja/3S-3310-1.pdf- AI関連のルールは,各国政府による「規制」ならばありそうな話だが,国をまたがってのルールなんてものがはたして成立するのかが疑問だった。さらに,標準化なんて,国際機関・標準化機関は考えそうなことではあるが,標準化の様な“型にはめる”ことが受け入れられそうな気がまったくしない。…と,かなり懐疑的な姿勢で聴講したのだった。でも,結果的にはこの懐疑心は払拭されることになる。
- AIに関するいろんな心配事があるのは周知の事実 (「シンギュラリティの到来」みたいな無益なFUDではなくてもっと具体性のある心配事がいろいろある)。それらの具体的な心配事に対して,業界団体,標準化機関,各国政府,国際機関が,けっこう地に足の付いた活動をしているみたいだ。
- もちろん,心配事が全部スッキリ解決できる様なルールや標準が完成しているわけでは無いし,そういう類のものは将来的にもできないとは思う。しかし,心配事を軽減できるようなガイドラインは,いろいろと整備されつつあるようだ。いろいろと揃いつつあるということは,言い換えると,事業としてAIに取り組むのなら,これらのガイドラインのことを「まったく知らない」では済まされなくなるということだろう。
- 内容についての要約は割愛する。よく整理できている発表資料だったので,そちらを参照して欲しい。
◆「シェアリングエコノミーの国際標準化と認証に関する取り組み」(JEITA 国際戦略・標準化セミナーから)
https://www.ceatec.com/download/ja/3S-3310-2.pdf- シェアリングエコノミーの「業界」が,とっちらかっている = 私見。
- ルールとか規制が必要な面はたしかにある。商取引の信頼性や個人情報はもちろんのこと,事業分野に依存した適法性/違法性が問題になることがある。
- 日本国内で業界団体を作って,そこでサービスに認証を与えている。
- 次は国際化。ISO標準に向けて活動中とのこと。
◆「MaaS(Mobility as a Services)と標準化」(JEITA 国際戦略・標準化セミナーから)
https://www.ceatec.com/download/ja/3S-3310-3.pdf- MaaS (Mobility as a Service) の標準化なんて,そんなものはまだ無い。
- コネクテッドカーや,自動運転技術とかの観点ならば,ある程度は存在するが,それらはMaaSの「aaS」とはほど遠い。
- けれど,海外のいくつかの国での取り組み方には,今後に日本で公共交通機関をまたがってMaaSを実現する際の参考になりそうなものはある。
◆「つながる機器の法令遵守」(CIAJセミナーから)
https://www.ciaj.or.jp/topics2019/5044.html- ひとことで言えば,①いわゆる「技適」の説明と,②IoT機器のセキュリティ対策が法改正で義務づけられたことの説明,by どちらも総務省。
- ①の技適は電波を発する機器の規制だから総務省でしょうがない。
- ②のセキュリティ対策では,NICT(総務省管轄)のセキュリティ関連研究予算の割合が大きくなっているらしいと聞くけど,経産省だってAISTやIPAに予算を付けてやっているので,「お前らもっと仲良くやれよ」と言いたくなるよね。
- 本セッションの内容は発表スライドが公開されているので,それを参照すればOK。お役人の発表資料らしく無駄に多くの文字を押し込んでくれているおかげで,読めばわかるものになっている。
■OSS視点から
- 内容についてのコメントではまったく無いのだが…。
- CEATECは,展示会を中心とした商用イベント(見本市)だが,主催側に近いと思われるJEITAだけでなく,電気・電子系の各種業界団体が,このCEATECの場を使って各団体の企画イベントを仕掛けてきている。主催側(それともJEITA?)が積極的に呼びかけていたりもするのだろうが,各業界団体が単独で独立してイベントを仕掛けるよりも,ずっと効果があると考えているからだろう。
- OSS業界もいろんな団体が併存しているのは同じ(ある意味で乱立しているとも言える)。このCEATECのように一堂に会する場があってもいいと思うし,間違いなくその方がいいだろう。
- 昔,LinuxWorldというイベントがあり,その場で日本Linux協会(JLA)がカンファレンス枠を使って年次総会をやっていた。たとえば,そんな在り方も一案ではないか。
- 候補となるのは,もちろんオープンソースカンファレンス(OSC)だろう。
- もし仮に,LinuxWorldとJLAの様に総会を誘致するとなると,年度初めの時期に東京で開催があった方がいいとは思うが。
--
コメント
コメントを投稿