ガートナー社のレポートによると,データベースの分野でのOSSの存在感が高まっているらしいのです。背景には企業情報システムのクラウドサービス利用が当たり前になってきたおかげで「データベースサーバもクラウドで」という影響があるようです。データベースベンダのランキングでAWS (Amazon) が世界で4位になったとのこと。クラウドサービスの破壊力はやはり半端ではありません。
そんな中,昨今ではDBMSの高性能化(技術開発)も熱いようです。私自身は,いわゆる商用DBMSの事情をあまり知らないので,これはOSSのDBMSだけの話です。
急先鋒は「大規模分散OLTP」プロジェクトでしょう。「大規模分散OLTP」がプロジェクト名らしいのです。固有名称がまだ付いていない様に,現時点で絶賛開発中のプロジェクトです。ノーチラス・テクロノジーズなどがNEDO https://www.nedo.go.jp/ に提案し,プロジェクトとして採択され,OSSコンソーシアムの分散コンピューティング部会とデータベース部会でも注目しています。
大量の処理要求を分散環境でさばく点では,CassandraをはじめとするNoSQL系の存在感も無視できません。定番のRDBMSであるMySQLやPostgreSQLも,この熱い戦いを指をくわえて見ているだけでは無いようです。
しかし,それぞれのDB製品が同じアプローチをしているわけではなく,実現方法も,何ができて何ができないのかも,それぞれ事情が異なるようです。単純に「たくさんサーバを用意すればいくらでも高速処理ができるんでしょ?」なんて脳天気に考えていると,大やけどをしそうです。もっとも,私たちエンタープライズ系システムインテグレータがデータベースでヤケドすることが多いのは以前からですね。これは技術的な正しい理解と知識をないがしろにしていることが多いからですが。つまり,道具立てが多様化しつつある中では,ますます道具の特性を理解して使い分ける必要があるということです。
話は変わりますが,以前,経済産業省主催のシンポジウム『クラウド×OSS 〜 “攻めのIT”への転換』を開催しました (ご参考: メルマガバックナンバー https://www.osscons.jp/joa2hs1rk-328/#_328 「クラウド時代のOSSが進むべき道」)。このとき私たちは,OSSの定番領域としてOSやデータベース(DBMS),先進領域としてビッグデータやAIなどを例として挙げていました。データベースという領域が定番なのは変わりませんが,その定番領域でも,最先端の技術開発は進んでいるんですね。当然といえば当然ですし,常に進歩を継続することがOSSの社会的役割でもあります。
…ということで,オチが告知(PR)で恐縮ですが,OSSコンソーシアムのデータベース部会&分散コンピューティング部会共同でセミナーを開催します。各DBMS+新開発ツールのエースにお集まりいただきます。「この方々の話をまとめて聴けるセミナーはこれだけだろう」と自負しています。
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ご参考: 過去のデータベース比較セミナー
・データベース部会 設立セミナー
https://osscons-database.connpass.com/event/18201/
・第1回 オープンソースデータベース比較セミナー
https://osscons-database.connpass.com/event/56187/
・第2回 オープンソースデータベース比較セミナー
https://osscons-database.connpass.com/event/74688/
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