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EDB Postgres Vision 2018 Tokyoに参加

URL: https://pgvt2018.edbjapan.com/

■概要

エンタープライズDB (以下EDB) が「Postgres Vision 2018 Tokyo」を東京都内で開催。6月にUSボストンで開催された「Postgres Vision 2018」を受けての日本開催にあたるのだろうが,日本国内のPostgreSQLコミュニティで活躍している方たちが最新の動向や技術を解説するセミナー枠が多くあった。

■全体所感

集客があまり良くなかったのか,全体的には空いていて静かな印象。告知ページ(上記)では“満員御礼”が出ているセッションがいくつもあるが,まったくそんなことは無かった。聴講者としては席取りが不要でありがたかったが…。

セミナーは,PGECons成果報告会やPGCon.ASIAほどハイレベルではなく,聞きやすいものが多かった印象。EDBのプライベートイベントなので,当然EDB Postgres前提の情報が多いのだが,“EDBの宣伝”との印象はあまり感じない。EDBメンバも含め登壇者が,皆PostgreSQLコミュニティでも活躍している方たちだからだろう。

■アシスト高瀬さん,「なぜ EDB Postgres はプライベートクラウド基盤で採用が急増しているのか!?」

【所感】
* “プライベートクラウドで使うなら”という視点がおもしろい。EDBが最初から意図していたかどうかは別として,EDBのハマりどころだった様だ。
* プライベートクラウドに適する3つの点: 第1にライセンス形態(正確には価格設定)。第2にOSS由来である事に起因して構成方式の自由度が高い点。第3の性能拡張性はアドバンテージというよりも“ようやくOracleに追いついた”と言うべきだろう。

■HPE 惣道さん,「【実践編!コンテナ上のEDB】RedHat OpenShiftとEDB Postgres Containerで実現!エンタープライズDevOps基盤のつくりかた」

【所感】
* 今の私たち(TIS)のコンテナ推進はインフラ部隊の視点からで,適用分野の観点が弱いのが実態だろう。EDB Postgres ContainerはDBサーバをコンテナで稼働させることで,マイクロサービスとの相性を向上させる点を示してくれている。
* 「以前の反省を踏まえてDockerとk8sの説明をしてから」だったが,環境構築デモも含めて30分も使っちゃったので,EDB Postgres Containerの説明はほとんど無しだったのが残念。

■EDB 高鶴さん,「EDB Postgres で実現するHA構築のベストプラクティス」

【所感】
* OSS由来のEDBはHA構成もいろんなパターンが取れる。(この点はアシスト高瀬さんのセッションとも関連あり)。
* その各種構成の比較を可能な限り詰め込んでくれた貴重なセッション。ただ,40分ではとても消化しきれない濃い内容。

■日立 稲垣さん,「大規模DBのバックアップ運用に向けた取り組み」

【所感】
* 日立の金融案件にPostgreSQL(EDB)を採用するために,ガッツリと事前検証をした様子。
* そのガッツリと検証した中で,バックアップ&リカバリだけでも大変に丁寧な検証をしていて,さすが日立の金融部隊。

■(展示) クエスト

長年の実績があるToadとSysplex (従来は対応するDBMSではOracleが中心だったし,OSSのDBMSとしてはMySQLまでだった) がPostgresに対応した。周辺ツールの拡充は,仮にそのツールはOSSではなくても,歓迎すべきこと。

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コメント

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5600ページのIEEE 802.3-2018が入手可能になった

IEEE 802.3の名称は今では「IEEE Standard for Ethernet」になっている。 「イーサネットとIEEE 802.3は別物なんだよ」という話は,今では昔話でしかない。もうひとつ“いまはむかし”な話をすると,「イーサネットはCSMA/CDだよ」なんて言うと恥をかくのでやめた方がいい。こちらは名称の問題では無く中身の話だが,ここでは詳しい説明は割愛する。 この「イーサネット標準」の2015年以来の改訂版が,2018年8月に発行。6ヶ月のIEEE会員限定期間が過ぎたので,一般にも入手可能になった。ただし個人アカウントは取得する必要がある。この話は以前に書いた ( https://nmizos.blogspot.com/2017/12/ieee802.html 参照)。 https://ieeexplore.ieee.org/document/8457469 このネタをブログにしようと思った動機はタイトルに記してしまった。この規格は改定されるたびにドンドン太って巨大になってきている。本編改訂の間に発行されたamendment (補遺と訳すのがいいのかな)が取り込まれるので,太るのはしょうがない面もある。でもねぇ,ついに5600ページ。もちろん通し読みするようなものじゃない。PDFファイルなので「厚さ」は無いが,印刷したらどれくらいになるんだろう。 参考までに,過去10年の本編のボリュームを比較してみた。  2008 = 5分割,2977ページ  2012 = 6分割,3748ページ  2015 = 4017ページ,56Mバイト  2018 = 5600ページ,98Mバイト 以前は数セクションにファイルを分割して公開されていた。ファイルが大きすぎるのを気にしてたんだろう。2018版も中身は8セクションに分かれている(ページ番号も別に付いている)のを,PDFファイルとしては合体してある。100Mバイト程度のPDFが「デカ過ぎて開けない」ってことも無いだろうから,1本になっていた方が全文検索ができて都合がいい。ちなみにiPadで開いて全文検索しても,今の98Mバイトなら困らない。 参考までに,無線LANのIEEE 802.11の方は,802.11-2016が3534ページ。こちらも結構なもんだ。 --

IEEE802標準文書の入手

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RFCは番号を無駄遣いしていないか?

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